はろー、異世界学ぶ 第三話「入学③」

チャイムが鳴る。 高校の時とは少し値色の違うチャイムだ。 単調な鐘の音ではなく、あたかも本物を鳴らしているのではないかと思わせるような、音が何重にも重なったチャイムだ。 その音は教室を響かせ、学校を響かせ、そして私の身体を揺さぶる。
長かった入学式が終わり、あと二十分で異世界学のオリエンテーションが始まってしまう。
真琴は両親と少し話してから、教室に来るらしい。 大学に入って、私も真琴も一人暮らしだ。普段から助け合えるように、アパートの隣同士だ。
ちなみに部屋は一人暮らしにはもったいないほど広い部屋で、最初はシェアハウスにしようかと話していたが、大学が家賃の半分を負担してくれるというので、贅沢に一人一部屋使うことになった。 まぁ、まだ段ボールだらけで、まともに開封作業が終わってないが……。
異世界学のオリエンテーションが行われるのは、校門に近い第三研究棟の四階、大きな講義室だ。 生徒の座る席はひな壇のようになっており、教壇から一番後ろの人の顔まで見えるようになっている。
必然的に空いてしまう前の方の席を二つおさえ、真琴を待つ。軽く振り返れば、講義室内の席の八割は埋まっている。 いま私が座っている席は五人掛けのの端っこだが、左端と左から二番目の席にはすでに男の生徒が座っている。 あと五分ほどでオリエンテーションが始まるが、席はドンドン埋まっていく。
「(このままじゃ、真琴の席も埋まっちゃうよ……)」 「……ごめん、遅くなったぁ」
少し不安になりかけた時、真琴はやってきた。一個席を詰め、端の席を真琴に譲る。
「すごいねぇ……こんなに人が集まるなんて」
「結菜~、うち、めっちゃ不安だよぉ」
「とりあえず、オリエンテーション聞いてからにしましょ?」
「うぅ……うん」
チャイムが鳴る。二十分前と同じ音だ。 少しすると前の扉から、教授と思われる人が入ってくる……が、若すぎる。 二十代になりたてという雰囲気だ。
「うわ、めっちゃ入ったな……。とりあえずプリント配るから回してけー」
若干顔が引きつっている。前から回ってきたプリントを後ろに回していく。
そしてプリントを眺めた。 どうやら年間スケジュールや評価方法などが書いてあるようだ。
『国際技術大学国際社会学部 異世界学 担当:白鷺 湊 種別:通年科目・任意選択 概要:ゼミ形式の授業で、近年話題の異世界(「リクシオン」「ジル」「ハイタミ」)を見ながら、魔法も含めた異世界全てを定義していく。 答えなどはなく、ディスカッションと講義を織り交ぜて進めていく。 なお、本講義は一年次を取った者が優先的に二年次以降も選択することができ、また二年次では異世界で授業を行うため、他の授業は取れない。しかし、この授業で最高評価を獲得すると、卒業単位要件を満たしたこととする優遇措置が適用される。 ゼミ式授業のため、上限人数は五名。それ以上の人数が希望する場合は、選考を行う。 年間スケジュール 最初から最後まで、ディスカッションと講義 以上。』

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