おすすめweb小説紹介サイトラノプロ『俺の仕事は異世界調査員!――マグネット』

《作品タイトル》

俺の仕事は異世界調査員!

《作品情報》

作者“みさご 作者のマイページ 作者のツイッター

あらすじ

36歳 バイトや派遣社員で食いつなぐおっさんの元に一流企業のスカウトメールが来た 喜んで行ったものの、そこは日本の神様が管理する会社だった 就職条件:日本の神様が保証人となって別次元に引っ越した外国の神様が音信不通、その調査 別次元の人々との交流しながら支給品の装甲車と現代兵器を持って事件調査のお仕事をする

ジャンル

ヒューマンドラマ

キーワード

ライトノベル ヒューマンドラマ 現代兵器 補給が少ない 車内制手工業 疑似家族 世知辛い 時々金欠病 別事件の世界 ジャンルが不明確 コメディーあり 心の弱い主人公 仲間が頼りになる 人との出会い 仲間が頼りになる 人との出会いと絆 滅多に無双できない 一番大切なもの

《第一話特別掲載》

※自宅PC前

その時俺こと、 |大仲 涼太《おおなか りょうた》はとても焦っていた。

専門学校を卒業して念願のITエンジニアとして就職、PGからSEへ。
そこまでは希望と同じ……

しかし、中小ソフトハウスでITと無関係な業務系。
潰しの効かないマイナー言語に酷い残業地獄。
休みどころか睡眠すら不安定。

いわゆる社畜である。

9年務めたが遂に体と心が病気になり退職。
何とか回復するもバイト・派遣・無職をさまよってついに35歳の壁を越える。
36歳で無職、焦りつつも職探しの日々。

そんな不安な生活を続けていた時、突然スマホにメールが届いた。

「転職サイトのお知らせメールか? 何だって…… 俺にスカウト!?」

指名したのは神戸の上場企業!
何かの間違いかと思い電話をしたが間違いではないらしい。

さらに是非見学にと誘われ「いつでも行けます!」と求人内容も確認せず返事。
即行本日午後の訪問アポを入れる。

「気が変わったとか後で間違いでしたでは目も当てられないからな…… よし! 乗りと勢いで採用させる!!」

「しかし、俺にもまだ運が残っていたか…… 諦め無くて…… よかった……」

すこし涙がこぼれた。

何時でも準備は出来ている、スーツ・鞄・靴・筆記用具・履歴書関係・自作Q&A・会社情報を装備、気合は十分、訪問先は神戸、コンビニで飯をくっても余裕で間に合うが直ぐに出発した。

※神戸の上場企業:社屋応接室

「大仲 涼太さんですね? ご訪問頂きありがとう御座います、私はこのプロジェクトの担当をしております|村下 正重《むらした まさしげ》です、よろしく」

知的だが技術系と思われる渋い初老の男性、先に挨拶されて先手はあちら。
行き成りの失点……

「本日はお招き頂きありがとう御座います、挨拶が遅れ申し訳ありません、改めまして大仲 涼太と申します、よろしくお願いします」

こんな返事で問題ないだろうか?
大企業の面接は新卒以来でそんな不安に襲われる……

だがこんなチャンスは二度とない!
そう自分を奮い立たせ、怖じ気付かないよう気合を入れなおす。

「まあ、挨拶はこの位にしましょう、実は社内の技術屋で恥ずかしながら|畏《かしこ》まった話し方は苦手でね、それにうちとしては、大仲さんさえ良ければほぼ採用確定なので緊張しなくていいよ、取りあえず現場の代表から幾つか確認が有ると思うので早速向かおう」

クッ! 相手のペースで全く売り込めない、乗りと勢いは何処にいった……

いや、まて ……現場? ほぼ採用確定? マジで!

「少し混乱している様でして、面接前に採用で現場ですか? 私は御社での採用かと……」

「ああ、勤務地が違うだけで間違いなく我が社の社員だから心配無いよ、まぁ、混乱するのはわかるけどね、移動中に説明するよ」

村下さんは流石に貫禄がある、無駄に齢だけ増えた俺とは違うね! 気遣いが身に染みる。
これは見栄をはっても見透かされるだけ、どうせ降ってわいた様な話だし。

※車内

そんなこんなで外が見えない車で移動、何でも自衛隊さん向けの商品を他社と共同で開発している拠点で場所は秘密だとか、心臓に悪いのでサプライズは程ほどにしてほしい。

とにかく、社員として出向なので採用は本当、経歴も調査済み。

趣味趣向もアンケートサイトでバッチリ把握されていた。
……個人情報保護法なんて無かった……

俺がスカウトされたのはミリオタだからか?
それならば、世の中何が役に立つか分からないものだ……

求人内容をよく見ると勤務地も【異世界】、 洒落しゃれが利いてらっしゃる。
日本で秘密の兵器開発拠点なら確かに一般人には異世界だよな……

普通は信じないから信じて来る事が試験だった感じ。
実は見落としていただけなのですけどね、ハハ……

仕事は変わっているけど大手企業の正社員、正確には試用期間だが。
でも、多少失敗しても 真面目まじめに働けば正社員に成れるらしい。

給料は高額で試用期間だけでもフリーターより断然いい。
そしていよいよ着いた様だ。

※某所開発拠点

そこは窓が無くなんか地下っぽい施設だった。

「地下施設ですか…… まさしく秘密拠点って感じですね、試射とか出来るのですか?」

「おお、大分砕けたね! しかし…… 殆どの人は初めて来ると緊張するのだけど」

「元社畜のSEでしたからね、一度腹を据えたら内心に関係なく余裕のふりは出来ます」

「これは掘り出し物だった様だ、施設内に射撃試験場も有るよ、正式契約するまでは全部は教えられないけど、製品の紹介って事で何とか使えるようにしようか?」

「それはとても嬉しいですね! ですが、代表との面談前に宜しいのですか?」

いいね! この職場、自由に試射できたら嬉しいな、ストレス発散に調度いい。

「予定時刻より大分早く来たからね、ボスはまだ到着していない様だし少しなら大丈夫だよ、大仲君がサバゲーで使っていたやつも有るよ」

うひゃー マジか! でも89式小銃も良いな、有る物は色々頼もう。

「よろしくお願いします! 早速取扱商品について勉強させていただきます!」

へえ、ボスって呼ぶのか、でも理想の職場の予感!
仕事内容は知らんけどもう決めた!

村下さんは食いつきに驚いていた、趣味は把握しているが銃が撃ちたいとは中々言わないらしい、普通なら飛び付くなんて危ない人に見えるから遠慮する。

もちろん俺だって生き物や人間を撃てって言われたら嫌だよ?
でも射的やゲームは別です。

自衛隊用なら国防に貢献できるし、侵略向けじゃ無ければハッタリでも強そうな方が余計な争いは減ると考えますよ、とか話すと、村下さんは喜んでくれた。

正式な国からの仕事なのにこの業界への世間の風は冷たいからね。

自分の仕事に誇りを持っているようだ、誇りを持てる仕事や人は以外に少ない。
所詮仕事は経営者や株主の意向。

それでも僅かだが社会に貢献し、自信の持てる仕事をさせてくれる会社もある……
それがどれだけ幸運で幸せな事か知っているかな? 正直、俺は少し妬ましい。

村下さんとも打ち解け雑談を楽しんでいたが、性格分析は当てに成らないなと話題にでた、「事前の性格分析では合理的で必要なら殺しも覚悟が出来る人」とあったらしく「サイコパスの様な冷たい性格と思っていたよ」と言う。

村下さんはそういってくれるが、俺には思い当たるふしがある。

元からの性格では無い、余裕も甘さも無い仕事は合理を求める。
だから何時の間にか、邪魔な者を切り捨てる判断も当たり前になっていた。

「ブラック企業は自殺が多いのですよ、同業者とは責任の押し付け合い、相手を自殺させた事もあります…… 彼らは散々人に責められ、背負いきれない重い責任を負わされ、希望を見失い生きる事が拷問に成って、長い苦しみの果てに死を選ぶ…… 射殺の様に簡単に死ねない分残酷な殺し方です」

強がって見せているが、本当は自殺するとは思ってもみなかった……
あの記憶は俺のトラウマになって、未だに俺を苦しめる時がある。

だが、例え結果が分っていても行動は変わらなかったと思う。

疲れ切っていたが、休みたくても次の仕事が待っていた、逃れられない様に巧みに縛り付けられた仕事が、その上に仕事を増やせば仮眠すら取れるか怪しい、多分自分や部下達が死ぬ側になる。

だから、分っていても同じ選択をしたと思う。

「そうするしか無かったのだね…… 仕事柄その手の人とも合う必要があるので感で分かる、でも君は民間企業だろ? それが今の民間なら軍隊よりよっぽど非人道的じゃないか、何時から日本は……」

たまにだが「外国人実習生が奴隷の様に扱われている」と報道されているのだが……

何時から? バブル崩壊後だよ、大手企業で年配の方には分る筈が無い、御社の仕事も外注に出した分は何度も中抜きされ、最終的に酷く安い見積金額と厳しい納期に成っていると思う、信用を失いたく無ければ、社の末端や下請けの構造を調べた方がいいぜ?

証拠に町工場の設備投資は出来ていない旧式工作機械ばかりだし、離職率も高い。
そして非正規雇用のなんら愛社精神もプロ意識も持てない者が製品を作る。

せめて終身雇用か成果主義、そのどちらだったら、せめて片方は持てただろう。
だが実際は、努力しようが低時給のままで愛社精神まで求める始末。

どう考えればそれが実現しえると思えたのか……  俺には不思議だ。

しかし、大手メーカは与党に緩和を求める。
出来ないなら国を捨てると脅して……

海外に工場を作り、日本の工場では賃下げ。
そりゃあ、不安定で金が無ければ国民の購買意欲も落ちる。
老後の貯金は平均3千万なんてバブル期の残滓だ。

海外ではガラパゴスと呼ばれ碌に売れない。
自分達が国民の所得と安定を低下させている事さえ理解出来ない。
だから高級品の需要が少ないと、理解出来ずに作って失敗。

もういっそ、真面なら別の国の会社で良いんじゃないか?

殆どの国民が仕事に見合った所得と安定を得られるならだが。

会社の国籍なんて納税額と労働者には関係ない。
必要なら日本用の企業設立か合弁会社を義務化すればいい。

国籍より税金逃れをしない企業の方がよっぽど国の為になる。
日本企業が必ずしも国益とはなっていない。

そんな事をつらつら考えていると、しばらくたって射撃試験場で体験見学中にボスのご帰還、村下さんから声が掛かった。

「調度時間だね、代表は顧問室に居るから私が案内するよ、私は扉までだが心配する必要はない、大仲君は中々度胸も有るし行動力も有るから間違いなく採用だと思う、自信をもって行きなさい」

「はい! よろしくお願いします」

やば! うっかり思考が真面目になっていた。
気楽で適当に生きるアホに早く戻ろう、病気が再発したら面倒だ。

でも、折角の村下さんの心遣い、無駄にしません。

気持ちだけ有難く貰っい、自信を持って行きます。

※施設長室前

コンコン 「村下正重です 大仲涼太様をお連れしました」

「村下君かご苦労…… 大仲さん入ってくれ」

女性の声か、上司が女性なのは初めてだが、大丈夫だろうか? 兎に角入ろう。

「失礼します! 大仲涼太と申します、この度はお招き頂きありがとうございます!」

取り敢えず挨拶はすましたが、目の前の女性はどう見ても人間ではない。

感じからして天女か女神様って所か?

これは本物の【異世界】出向の可能性が非常に濃くなってきた。

元から少し特殊だったが、これで完全に、俺の望む普通の就職では無くなりました……

補足*****
昔のIT系には時間外労働300時間越え何て会社も多かったです
自殺等があっても過労とは扱われず、病気とされ表には出なかっただけ
ですが、流石に最近は大分マシになっていると感じます
あくまで昔話、これから社会に出る人を怖がらせるのは本位では有りません

《感想》

この小説のテーマはひとえに社畜! ではないかと思っています。ブラックすぎる会社を病によって退職した主人公が異世界に飛び立つような話なのですが、ブラックな主題とは裏腹に細かなネタが複数用意されておりシリアスの中でも明るく読むことができるかと思います。 そんなことよりも、この小説に出てくる神がみんなそれぞれかわいいんですよね。個性がありますし、設定もしっかりしています。 とてもよく構成がねられている作品ですのでぜひご一読お願いします。

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