おすすめweb小説紹介サイトラノプロ『取り敢えず殴っとこ☆脳筋美少女が撲殺聖女と呼ばれるまで――アルファポリス』
《作品タイトル》
《作品情報》
作者“SHO”
あらすじ
**少々思うところがあり、タイトル変更致しました。また変わるかもしれません** 解読不能の謎スキルを持つ新米冒険者の少女シルト。ケガや病気を治癒させたり壊れた道具を元通りにしたりとなかなか便利な謎スキルだが… 戦闘用のスキルも無いのに何故か父の形見の盾を持って前衛職(タンク)を志したおかげで周囲の評価は役立たず。謎スキルは父の遺言でおいそれとは使えない。他に授かったスキルは『怪力』だけ。それでもめげずに前を向くポジティブさだけが取り柄の彼女に明るい未来は訪れるのか? 信頼できる仲間は現れるのか!? 誰かそんなシルトに愛の手を! 小説家になろうでも掲載中。2018.5/9 第一部完結。第二部開始は未定ですorz
ジャンル
ハイファンタジー〔ファンタジー〕 |
キーワード
R15 残酷な描写あり 日常 冒険 ほのぼの 女主人公 チート 魔法 女の友情 成り上がり 人外 ダンジョン ネット小説大賞六感想 HJ大賞2018 完結
掲載日
2017年 04月03日 18時09分
《第一話特別掲載》
ーーー(いいか、お前は凄い力を持っている。お前の力は必ず人々の役に立つ。だがその力が明らかになれば要らぬ苦労を背負う事になるだろう。信頼出来る仲間を集めるんだ。力の全てを明かすのは信頼できる仲間だけにするんだぞ。)ーーー
半月前、父さんはそう言い残して逝ってしまった。腕のいい前衛だったそうだけど魔物の大氾濫の時、仲間を守る為に犠牲になった。
父さんがあたしに遺してくれたのは一人では広すぎるこの家と今わの際の言葉。そしてでっかい盾。母さんは物心ついた時にはいなかった。父さんには流行り病で死んだって聞かされてる。でもお墓とか、無いんだ。だから、ホントはどこかで今も生きてるんじゃないかって思ってたりする。でも特に会いたいとかは思わないかな。あたしにとっての家族は父さんだけだったしね。
「父さんはこの盾で仲間を守ってたんだ…」
改めて、父さんの形見になっちゃった盾を見て思う。いかにも頑丈そうで無骨な造りのタワーシールド。細かい傷がたくさん付いてる。この傷の数だけ仲間が傷つくの防いだって事なのかな。
冒険者だった父さんは私を育てる為に、そして街を守る為に常に魔物や賊と戦っていた。戦いに身を投じれば信頼出来る仲間を見極められるのかな…
「冒険者、か…」
*****
「こらぁっ!もっと気合入れて受け止めろやルーキー!!」
ガイン!ドゴッ!
「は、はひぃっ!」
お、おかしい!あたしが思ってたのと違う!?
「もっと敵のヘイト稼げっていってんだよ!ったく、使えねえな!」
「は、はひぃっ!?」
へ、ヘイトって何さ!?わかんないよ~!
あたしはシルト。16歳の女の子!死んだ父さんの形見のシールドで父さんみたいにみんなを守るんだ!な~んて意気込んで冒険者になったんだけど…
「あ、の!?」
ガン!
(くっ!)
ガガン!
(いたたっ!)
「なんだよ!?」
「ヘイト稼ぐってどうやるんですかっ!?」
「んなもん敵を攻撃すりゃいいじゃねえかっ!」
「出来ません!!」
「…は?」
「あたし、武器持ってません!」
「なにぃ~!?」
*****
「ほらよ、報酬。お前の取り分だ。」
パーティーリーダーの人が革袋に入った硬貨を投げてよこす。
「わ!ありがとうござい、ます?」
あれ?やけに軽いわね。そおっと袋を開けてみると…え!?これだけ?
「あのう…ちょっと少ないのでは…」
何かの間違いかもしれないし一応確認してみるわ!
でも返ってきたのはさっきまでパーティーの仲間だった筈の人達からの殺気の籠った視線。
「ひっ…」
「あのなあ、オマエ今日の戦闘で何か役に立ったか?あ?」
そんな青筋立てて凄まなくても…なにさ、そっちからパーティーに入らないかって誘って来たくせに!
「ったく、そんな御大層な盾持ってるから期待したのによぉ。お前みたいな役立たずとはもう組まねえからな!」
(…とは言え、オークの打撃にも押し負けてなかったし怯んでもいなかったな。)
あうう…行ってしまった…
ふう、父さんの盾、今日一日で結構ボロボロになっちゃったな。
(元通りになあれ!)
淡い光に包まれた父さんの形見のシールドは傷やへこみが元通りになって行く。あたしのこの能力は父さんの遺言もあって人前では使わない。モノだけじゃなくて人のケガや病気も治せるからヒーラーとしてなら誘ってくれる人はいると思うんだけどね。
でもあたしは父さんの形見のシールドを受け継いで、前衛をやりたかったの!
だけどね、あたしは剣も槍も使えなかった。攻撃出来ないただの盾持ちの冒険者がソロでやっていける筈もなく…今日みたいに野良パーティーに参加しては罵倒され、いろんな理由をつけて報酬を差し引かれて泣き寝入りの日々。でもどこかしらのパーティーに入れて貰わないとやっていけないしなぁ…
こうなったらあたしの形のいい胸やお尻をプリプリさせて…
《ゴツン!!》
「あいたっ!ちょ、なによ!? って鍛冶屋のおじちゃん?」
「何こんなトコでクネクネしてやがる。気味悪ぃな。それに俺はまだ30だ。おにいちゃんだろが!」
なんでこんなトコに近所の鍛冶屋のおじ…おにいちゃんが?と思ったけど考え事してたら家の近くの川の土手に座り込んでたみたい。
「どうしたよ?悩み事か?」
「うん、まあね…」
この鍛冶屋のおにいちゃんは小さい頃から面倒見てくれてる。ああ、恋愛対象じゃないよ?だって歳の差ほぼダブルスコアだし!…やっぱおじちゃんだわ。
「父さんの形見のシールドを受け継いでみんなを守るタンクになろうって決めたんだけどね…」
今日までの出来事をおにいちゃんにぶちまけた。
「なるほどな。攻撃出来ない前衛職か。ちょっとその盾貸してみろ。」
「うん、いいよ。はい。」
「ぬおっ!?な、なんだこりゃ!?」
ん?どうしたんだろ?
「お前、こんな重い盾持って戦場走り回ってんのか?」
「え?これそんなに重い?」
「……お前、自分のスキル分かるか?」
「さあ?」
おにいちゃんは眉間に指をあてて苦虫を噛み潰したような顔をした後、とんでもない事を言い出した。
「お前、今からちょっと付き合え。」
え?そんな付き合えって言われても…おにいちゃんとは歳の差が…
ゴツン!
「あぅっ!!」
「何考えてるか大体わかるがそんなんじゃねえぞ?お前のスキルを調べに行くんだよ!」
なるほど、早とちり。てへ☆
ゴツン!
「う”っ」
《感想》
この作品は非常にうまく女の子を書くことができていると思います。序盤から女の子視点で始まるこの物語ですが、思考力豊富な女性を一人称視点で描写するということはなかなかの難易度を誇っています。
SHOさんを紹介させていただくのはこの記事で二度目になるのですが、視線を勘違いする男のSHOさんここにありといった感じですね。鋭いギャグに独特の存在感を放つ主人公。どれもSHOさんだからこそ書ける独特の領域に達していると思います。
前々から思っていたのですが、SHOさんの書く小説はテンポがい良いんですよねー。だから疲れたときにや夜中に呼んだとしてもストレスなくスムーズに読み進めることができます。
どんな時でも読める小説ですので是非ご一読お願いします。