『俺、魔王! ~ ヤラれるぐらいならヤッちまえ ~――小説家になろう』おすすめweb小説紹介サイトラノプロ

《作品タイトル》

俺、魔王! ~ ヤラれるぐらいならヤッちまえ ~

《作品情報》

作者“A級Bジュース”

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あらすじ

魔王ディコールが何者かに殺される”という予知を伝える従者マウラ。自分が手出し出来ないほどの存在を気にするが、予知では人物を特定することができなかった…。こうして、魔王ディコールは”自分を殺す人物”を探し始めるが…

体が子供に?神がスキルに?魔物が仲間に?

笑いあり、涙ありの物語 ー

果たして、魔王は殺されずに済むのか…
魔王ディコール、一体どうなる?

ジャンル

ハイファンタジー〔ファンタジー〕

キーワード

R15 残酷な描写あり  日常 異能力バトル 冒険 魔王 勇者 ファンタジー 魔法 バトル ギャグ ほのぼの 男主人公 職業もの チート

掲載日  

2018年 06月02日 18時40分

 

《第一話特別掲載》

 切り離された腕。

 足、胴、首に幾重にも連なる魔法陣。

 反撃は許されない。

「さて、終わりにさせてもらう」

「……」

 体を挟む者は、いない。

 魔王デア・ディコールでさえ、この有様なのだ。

 どうして配下の者が立っていられようか。

 しかし、周りを見渡し、そして再び落胆するのだ。

 あぁ、次は自分の番なのだ、と。

「悪い、運命を呪ってくれ」

 そこで視界は途切れた。

 -ーー

「……ということなのです」

「……俺、死ぬの?」

「はい、魔王様。

 このままだと殺されてしまいます」

 …… コトン

 皿が置かれた。今日はトーストか。

 もう一度、強気で聞いてみる。

「俺は強いが…… 死ぬのか?」

「はい、魔王様。

 私はもちろん、生きとし生けるもの者の全てが

 共通の意識をもっていることでしょう。

 しかし、殺されます。寿命ではありません。

 何者かの手によって、いとも簡単に、です。

 お飲み物はどうしましょう?」

「予知みえたの?牛乳で」

「そうです、どうぞ」

「……ズー」

 急に “貴方、死にますよ?” と言われて、

 信じろと言うほうが難しいよなあ、もぐもぐ。

 俺の話を少ししよう。

 俺、デア・ディコールは魔王だ。

 魔王にしては小さめ、180程度の背丈。

 真紅しんくの髪と、真逆の紺碧こんぺきの瞳。

 ハリネズミのような髪から見えた双角が目立つ

 イケイケの魔王様だ。

 魔王というのは、呑気なものなのだ。

 基本的には、無職ノージョブである。

 魔王は、魔族にとって花形職業だ。

 魔族を従え、欲望の限りを尽くす。

 許されるはずは無い。

 しかし、力なき者は従うしかない。

 それでは、力のある者は?

 弱者のため、己のために、強者に挑む。

 数えきれぬほどの者達が、俺を狙った。

 魔王の地位を狙う者。魔族を忌み嫌う者。

 世界の調和を望む者。歴戦の冒険者。

 様々な思想や理念が入り混じり、挑み、

 そして、散った。散らした。

 しかし、それも長くは続かなかった。

 俺は、強すぎた。

 あまりに、勝負するにはかけ離れていた。

 力が、技術が、経験が。

 そして、魔王としての俺は歴史から消え去った。

 俺は、いくら暴れても”天災”として扱われた。

 人が死んでも、戦争にならない。

 団結して討伐にも来ない。

 俺の悪逆非道を、許さない者がいなくなった。

 これほどツマらないことはない。

 俺は、飽きてしまった。魔王としての生活に。

 数千年前、俺は魔王城から姿を消した。

 そして、フラフラ彷徨い、暇を持て余した。

 城に篭っていたときより、少しだけ楽しかった。

 今は、この場所でのんびり暮らしている。

 俺の配下は、この喋っているマウラのみだ。

 何かと都合がいいので、マウラを従えている。

 マウラは俺に尽くしたい、俺は楽が出来る。

 win-winな関係だ。

 マウラは、順々だ。

 時々抜けているが、俺へ最善の限りを尽くしていた。

 そんなマウラが、俺の勝利を疑った…?

 俺は、魔王だ。

 世界に許された魔王だ。

 そんな俺を、殺す?

「マウラって、冗談を言うような従者だっけ?」

「いいえ、魔王様。

 冗談でも “魔王様が殺される” などと

 口に出そうはずがありません」

 おっと、口に出ていたか。

 …?

 このままだと殺されてしまいますって言ったよな?

「朝食のトーストを焼いている最中に見えました。

 ことは一刻を争います。

 早急にこれからを考えるのが無難かと。

 目玉焼きも一緒にいかがでしょう。

 急ぎのため半熟です」

 今度からトーストと一緒に出してくれな?

 そう言いつつ、

 半分ほど食べたトーストに目玉焼きを乗せる。

 熱々の目玉焼きから黄身が溢れ出した。

 マウラは、人魔の娘だ。

 魔人ではない、人魔。

 人と魔人の子、人魔。

 魔人の力を持ちながら、人の身を持つ人間。

 背丈は小さめの150程度。

 髪は白、瞳は俺と同じく紺碧。

 人形のようなクリっとした瞳と

 ショート髪の似合う少女。

 小動物のような見た目の彼女だが、人ではない。

 見た目は人族、そして能力は魔族という希少な存在。

 加えて、マウラは魔族と人の血が混ざり、

 珍しいスキルを持っていた。

 オリジナル『先見明せんけんめい

 対象物の未来を予知できる。

 予測ではない、予知だ。

 魔法では再現不可な、優れているスキルだと言える。

 しかし、マウラは能力を完全に扱いきれていない。

 予知は、いつ出るか分からない。

 制限をつけると格段に早くなるそうだが…

 マウラは常に、俺と自身について予知を行っている。

 今回は、”俺の身の危険”が予知として出たようだ。

「なぜ、相手の人相がわからないんだ?」

 しかも、今回は相手が分からないという。

 顔、背丈、声、雰囲気、全てがボヤけていたらしい。

 ……ぼんやりと言葉のようなものは聞いたらしいけど。

「この者はスキルに影響を与える人物なのでしょうか……

 予知自体にブレがあるのは始めてのことです」

 淡々と推測するマウラ。

「私も、魔王様が敗北などと、

 考えられないことだと思います。

 しかし、”先見明せんけんめい“により

 予知した未来を見過ごすことは…… できません。

 起こりえない、しかし起こるかもしれない。

 私の凡愚な考えのみで、予知をお伝えしないことは

 魔王様に対しての無礼と考えました」

 無礼…… なあ。

「……いとも簡単に〜とかいうのやめろ?」

「事実ですので……?」

(……やめないのかよ‼︎)

 まあ、今はいい。今はそれどころではない。

「殺される…… な。 死ぬのは困る。

 俺はもう死ぬのが確定した、とか言わないよな」

「いいえ、魔王様。

 死ぬのが確定したとは言い切れません。

 私の予知は、予知を行わない場合の未来、

 もしくは、行っていても何もしなかった場合の未来、

 確定で起きます。このスキルの長所です。

 しかし、起こりえる状況を回避すれば起こりません。

 別の未来となります。

 今朝の卵が傷んでいた場合、

 卵かけご飯を食べていれば食あたりをおこすでしょう。

 しかし、私は目玉焼きを選択しました。

 これにより、魔王様が食あたりを起こす未来は

 なくなった、といわけです」

「傷む前に消費してくれ」

「……ッ!!」

 …え、何今気付いたの?

 というか、何その例え。タイムリーすぎない?

「…こほん。

 予知の結果もそうなのですが、他にも懸念があります。

 本期から “夜明けの期”。

 魔族にとって不吉な大事が起こる、

 と言われているのはご存知だと思いますが…

 この”大事”、

 主に魔王様の入れ替わりや危険勢力の誕生など、

 魔王様にとって、不利益となることばかり。

 ディコール様への不吉な芽が存在するならば、

 私は根本から断ち切らねばなりません。

 どうか、御英断を」

 先程と打って変わっての態度だ。

 俺を見るマウラの眼は真剣そのものだった。

 知らん、の一言で済ますわけにもいかないだろう。

  ……

 そうだ、”彼女の休暇” という体で、

 俺が出かければ良いのではないか?

 数百年程度フラフラしていれば、

 先見明の予知した未来を外せるだろう。

 元々、俺は暇を持て余していたのだ。

 その程度の期間、何も問題がない。

 しかし、俺はどこに向かうとするか。

 年がら年中休みの俺は、毎日がバカンスだ。

 どこに行きたいということもない。

 ……まてよ?

 俺を殺す者を探す旅、というのはどうだろうか。

 俺の死を脅かす者がいるというのだ。

 しかも、俺が全くもって抵抗のできないようなやつが。

 本当に存在するのか?これから誕生するのか?

 では、それは誰だ?

 候補に上がるのは魔王級の魔族。

 いや、それはないと考えを捨てる。

 魔王級で俺と対抗出来る者など、

 数千年単位で考えても例がない。

 では、人族か。

 それもない、と捨て去る。

 人族で魔王に個人で対応出来る者など、

 世界中の国家を探しても極少数だろう。

 ましてや、俺相手だ。存在するはずがない。

 いや、もしや… …

 女神の加護を受ける……

 マウラに休暇の話をし、自分も当分家を空ける、

 と宣言すると、渋々… といった感じで

 マウラは頷いた。

「あの…… 魔王様」

「どうした?」

「魔王様は、私の休暇中どちらを伺われるのですか?」

 ディコールは、ニヤリと表情を変えて宣言した。

「ああ、ちょっと “勇者” ころしてくるわ」

 この日から、俺の未来は変わったのかもしれない。

 

《感想》

鋭いギャグにセンスあふれるストーリー。これぞハイファンタジー最前線を行く小説なのではないかと管理人は思いました。
現在のライトノベル市場はテンプレ系異世界小説が新しく生まれにくくなっている気がします。そんな中でこの小説のように全くの非テンプレを行く作品は重宝されることでしょう。
最近のなろう小説はちょっとしたシーンでもシリアスになりすぎてしまう傾向にありますが、この作品はあまり重たい空気になりすぎないよう、的確に鋭いギャグが組み込まれています。それもこの作品の魅力です。
とても面白い小説ですので皆さんもこの作品を一度味わってみてください(^▽^)/

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