『ワールズエンド・カーニバルシティ――小説家になろう+カクヨム』おすすめweb小説紹介サイト

《作品タイトル》

ワールズエンド・カーニバルシティ

《作品情報》

作者“りょくちゃ。”

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あらすじ

人ならざる存在の手によってロサンゼルスが異界となって既に10年。

街は、彼が天より突き刺した巨大な剣によって、「アンダーグラウンド」「ハイヤーグラウンド」の二層に分かれていた。

ハイヤーグラウンドに住まう少女、シャーロット・アーチャーは、突如消息を絶った親友のエスタ・フレミングを追ってアンダーグラウンドへ降り立つ。そこは異能の力を得てしまった人間たちが跋扈する、狂騒の都市と化していた!

ジャンル

アクション〔文芸〕

キーワード

R15 残酷な描写あり  伝奇 日常 ハードボイルド 異能力バトル 冒険 女主人公 平成 群像劇 職業もの

掲載日  

2018年 01月01日 23時03分

《第一話特別掲載》

 『プチ家出』を敢行した時、シャーリーはその少女に出会った。

 名前はエスタ・フレミング。立場も環境もまるで違う、お互いの家の場所さえ知らない二人はやがて、かけがえのない親友同士になった。

 ある時、エスタが泣いているのを目にした。

 痩せ細り、粗末な服を身につけて砂利道に座る彼女。

 声をかけると、ゆっくりと顔を上げて、潤んだ目で頷いた。

「どうして泣いてるの?」

「だって――」

 少女はそこで、一息に言った。

「だって……こんな世界、嫌だもん。いっぱいいやなことがあるもん。そんなの、こわいよ。きもちわるいよ……」

 シャーリーは聞いていた。

「ねぇ。生きるのって、こんなにつらいことなの……?」

「……」

 彼女はしばらく考えた。

 優しくて、思いやりのある少女だった。

 だから、一生懸命考えた。

 そして、それから導き出される答えは、あくまでもシンプルなものだった。

「わからないけど。きっと、そんなことないんじゃないかなぁ。どんな世界にも、嬉しいこと、きっとあると思うよ」

 少女はシャーリーをじっと見つめて言う。

「どうして……?」

「だって。ボクとエスタは友だちでしょ。それで、遊んでる時のエスタは、すごく楽しそうにしてるから……うまく、言えないけど。それって、まだまだ楽しいことが、待ってるってことじゃないかな」

 シャーリーは、真っ直ぐな瞳で彼女を見つめ返した。

「ボク達が友達である限り、それをみつけられると思わない?」

 そして、手を差し伸べた。

 エスタは――おずおずとそこに掴まって、立ち上がる。

 それからシャーリーは……エスタの首に巻いた。

 自分が身に着けていた、真紅のマフラーを。

「これは……?」

「お母さんに無理言って、買ってもらったの。それはゼラニウムっていう花の色なんだって……でも、あなたにあげるね。花言葉は『友だち』だから」

 エスタの目から、涙が途切れた。

「ボクたちが、友だちでいるかぎり……どんなことでも、乗り越えられる……そう思わない、かな?」

 ……その表情が、輝きに満ちる。

「――……うん!」

 彼女は――シャーリーと繋いだ手の力を強めた。

 シャーリーもまた、笑った。

 それからも二人はずっと一緒に――友だちであり続けると。

 無邪気に、そう考えていた。

 朝の冷たい空気で、シャーリーは目を覚ました。

 薄暗い部屋の中身体を起こすと、その場でしばらく動かない。

 視線は宙をふらふらと彷徨い、よく整理された室内を走査する。

 それから――すぐ横のデスクの上を見た。そこには写真があって、笑顔の少女二人が収まっている。幼い頃の自分と、もうひとりの少女。向日葵のように爛漫な笑みを浮かべるシャーリーに対して、その少女は控えめに、小さくはにかんでいる。

 少しの間見つめた後、ベッドから降りる。

 薄青いパジャマのボタンを手早く外して脱ぐ。寒気から震えが走るが、それを厭わずに畳んでベッドの上に。枕元に置いていたロングのTシャツと紺のジーンズを身に着けて洗面所へ。

 冷水を、豪快に顔へとぶつける。全身に鳥肌――良し、完全に目が覚めた。

 頭を振ってタオルで拭くと、小麦色の髪を綺麗に撫で付けたまま、口に咥えた空色のヘアゴムで括る。少し振ってみると、まるで尻尾みたいにふわふわと揺れる。

 それから簡単に化粧をして正面を向くと、そこには行動的な、やや日焼けした少女の顔。満足気に部屋に戻ると、今度はハンガーから黒い革ジャケットを外して、大きく肩から着込む。首に巻くものはない。だが、構わなかった。

「完璧。キマってる。シャーロット・アーチャーは最高にイケてる」

 鏡の前、言い聞かせるように。

 それからデスクに向かい、鍵付きの小さな引き出しを開けた。

 中に入っているのは、刃渡り5インチほどの短剣。

 取っ手を握って目を瞑ると――頭の中に、想念が流れた。

「……もうすぐ地上へ(ゴーイング・アンダーグラウンド)、エスタ。ボクの顔、覚えてくれてたら良いんだけど」

 祈るようにつぶやいてから、短剣をサイドポケットにしまい込んだ。

 それから更に五分後。

 彼女は――地上へと旅立った。

《感想》

皆さんは世紀末を想像したことがあるでしょうか。

まさに混沌。この小説はそんな世界からスタートします。

作者様の豊富なボキャブラリーはその独特な世界観を色濃く表現しておりよくできた仕上がりです。

この小説のようなストーリー重視の小説では、ついつい会話文をおろそかにしてしまい誰が何を話しているのかわからなくなり気味なのですが、この小説に関してはうまくその問題をクリアすることができていました。

よくできた作品だと思いますので是非ご一読お願いしますm(__)m

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