ローファンタジー好きにはたまらない面白さ! 『退かずのアリス 〜はじめる編〜』

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《作品タイトル》

退かずのアリス 〜はじめる編〜

《作品情報》

作者“政宗あきら

 

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あらすじ

学校中の憧れの的である緋山アリス。彼女は襲い来る化け物を相手に魔術、そしてガトリング砲等の現代兵器を駆使して真っ向から対峙する。
目の前で繰り広げられる、現実離れした光景を前にした少年は――

コメディ、シリアス、ファンタジー、そしてガトリング砲。
気がつくと、屋上には火薬の匂いが立ち込めていた。

※ご指摘、ご意見、ご感想に『あ、もうここで読むのやめました』と言ったダメ出し等いただければもの凄く嬉しいです……! どうぞよろしくお願い致します!

ジャンル

ローファンタジー

キーワード

現代世界 魔法もの ボーイミーツガール ライトノベル バトル ラブコメ ある意味実験 カクヨムオンリー

掲載日  

 

2018年8月18日

《第一話特別掲載》  

「よろしいですかな、アマラ様」

「いえサガラです。……ムナカタさん」

 突っ込むように自身の名前を訂正しつつ、相良雪彦さがらゆきひこは凄まれていた。

 傍から見ればそのような雰囲気はなく、向かいに座る白髪初老の男性は、あくまでも柔らかな笑みを浮かべているだけなのだが。

 雪彦はその笑顔に凄まじいまでのプレッシャーを感じていた。そして実際に、男性の方もプレッシャーを掛けていた。

「では相良さエッゴホンッオドリャアアアッッッ」

 とても力強い咳払いである。直後に右フックが顔面を直撃したかのように錯覚する咳払いは、雪彦の人生で初めての体験であった。

「失礼……私共は代々、緋山ひやま家にお仕えさせて頂く棟方むなかたと申します。そして此度こたびはこの棟方道勧むなかたどうかんが、アリス様をお守りする役目を頂いております」

「はい……」

「もっとも相良様もご承知の通り、緋山家は魔術を生業なりわいとする方々。魔術に関する造詣ぞうけいの無い我々に、お手伝い出来ることは限られておりますが」

 言って、机に置かれた緑茶をズズッとすする。

 ここは雪彦の自宅、西側。昨夜から家屋の東半分は瓦礫がれき弾痕だんこんで賑わっているが、幸いにも西側は無事な姿を保っていた。その和室で机を挟み二人は正座で向き合っている。

 私服の少年と、黒いスーツに身を包む、見るからに執事かホテルマンかといった姿の男性。

「緋山家のご仁はその生業ゆえ、山深い里の中で大半を過ごされます。その為、恐れながら世事せじうとい部分は少なからず……ましてやお嬢様はまだ16歳。初めて里を出て、何かとご不便や戸惑いもあるでしょう」

「なるほど」

「となると、そんなお嬢様につけ込み……良からぬ虫の類が惑わす可能性も、無きにしもあらず」

 笑顔のまま眼鏡の奥がギラリと光る。実に器用なプレッシャーの掛け方だ。

 棟方は更に圧力を高めて言う。

「もし万に一つであっても、お嬢様の身に危険が及ぶ様なことがあれば……」

「あれば……」

「この道勧、緋山家との盟約に誓い! 刺し違えてでもお嬢様をお守りする覚悟に御座います!!」

 ムキィッ!! とスーツに包まれた大胸筋から音が鳴る。いや筋肉がそんな音を立てるはずは無いのだが、雪彦の耳には確かにその音が届いた。

 棟方の言葉を雪彦なりに要約すると『アリスに妙なことをしたら×××』となるのだが、そもそもの前提からして雪彦にとっては返答に困る内容だ。

 緋山アリスという少女がこの家に住み込む、と言い出したのはつい先程のこと。もちろんクラスメイトの女子、ましてやあの緋山アリスと同居など正気の沙汰ではない。

 雪彦は己の持つ常識と理性と語彙力を総動員して彼女を説き伏せようとした。

 曰く、年頃の男女が一緒に生活するのは宜しいものではない。

 曰く、この話が誰かに聞かれれば(主に自分が)大変な事態になる。

 曰く、一緒に住まずとも問題は解決出来るのではないか、等々。

 しかしアリスの意思は鉄より固かった。

 雪彦の言葉を鋼鉄の意志でことごとく跳ね返し、彼女は引っ越しの準備へと取り掛かっている。もちろん、棟方も多少の反意を示したがそれも容易くへし折られた。その矛先が今、雪彦へと向けられているのである。

「あの、棟方さん」

「何ですかな?」

 再びムキィと音が鳴る。中途半端な回答であれば、首から上と下が別々になりかねない響きだ。

「正直、この状況について行けなくて混乱しているのは、僕も同じなんですが」

「……」

「もちろん、彼女に妙な真似はしません。これはお約束します」

 棟方に言われるまでもなく、とその思いを口にした。そもそも、雪彦はそんな妙なことをできる性格ではないのだ。自分で自信を持って断言できる程に。

 それに加え、アリスという少女はいわゆるか弱いタイプではとても無い。その美貌と静かな立ち居振舞いは確かに、見る者に深窓の令嬢という言葉を想起させる。しかしその可憐な見た目とは裏腹に、彼女には大きな特徴があった。

 なにせ、魔術と銃器を自在に扱うのだ。

 本物の化物を相手に、一歩も退かずに。

 この街でアリスを魔術師と知るのは本人、棟方、そして雪彦のみとなる。魔術や魔物という存在自体を知っているのも、恐らくこの街では三人だけだろう。

 現代科学とは異なる理論体系に基づき、超常的な力を現す技術――決して人目につくことは無く、その存在さえ世間に気づかれてはならない魔道の業。

 ……もっとも、銃火器などを振り回している時点で、世間に知られれば警察や司法のお世話になる話ではあるが。

 雪彦は思う。そんな魔術を扱う深窓の令嬢(さらにガトリング砲、ショットガン、手榴弾等を装備して戦う)に何か妙なことなど、起きようはずもないではないか。

「なるほど」

 雪彦の言葉を考えていたのか、少しの間をおいて棟方が口を開く。

「お嬢様にはその様な魅力が無い…………と」

 なんでや。

「いやそうじゃ無くって!」

「ではやはり妙な感情を!!!!」

「いや、おっさん、聞けや」

「棟方、何ゆっくりお茶を頂いているの」

 つい無遠慮なツッコミを入れようとした所で二人の会話の主役、緋山アリスが姿を現した。

「あそこの荷物をお願いしたいのだけれど」

「はっ、これは失礼致しました。ついアマラ様とお話が弾んでしまい」

 はっはっは、と笑いながら荷解きへと向かう棟方。

 何故にアマラ。

 思わぬ僥倖ぎょうこうでプレッシャーから解放された雪彦は、ズズッとお茶を飲み目を細める。このまま一息つこうとも思ったが、和室の入口にはまだアリスが残っていた。

 それだけでこの部屋の空気が変わる。ほのかに漂う香りがそう感じさせるのか、青いリンドウにも似た色合いが静かに部屋を満たしていく。

 そんな彼女の姿に思わず、雪彦は目線を下ろしてしまう。

「突然の話で、迷惑を掛けているのは分かっているわ。ごめんなさい」

「え? あ、いや確かに混乱はしてるけど……」

「今後の話については、後でゆっくりお話しをしましょう。そんなに、時間は掛からないと思う」

 言って、棟方の後を追うアリス。

 雪彦は、そういえば彼女は何かと説明を後回しにする所があるな、などとぼんやり考えながら残りのお茶に口をつけた。

 少女は奥の部屋でテキパキと引っ越しを進めている。そしてこの家の東側は幾つもの瓦礫や弾痕で彩られている。そのうえ棟方はムキムキと音を鳴らせる。

 一体どうしてこうなった。

 それは、ほんの数日の出来事で――――

《感想》

またも久々の投稿となってしまい申し訳ないです。

今回紹介させていただいている小説

退かずのアリス 

は作者さん自身がtypemoonの作品に魅了されているからか、雰囲気がなんとなく型月の作品に類似ている感じがします。

だからこそ現実世界と非科学的な魔法が融合したような王道ローファンタジーがお好きな方にはおすすめの小説なのですが、少しオリジナリティがかけすぎている一面を持っていることもまた事実です。

個人的にはもう少し世界観そのものを自由に設定してみてもよい気がしました。

その点を気にしなければ非常に楽しめる小説です!

ヒロインもあらゆるところがビンビンに反応するレベルで可愛く、主人公の設定も(少し性格のずれを感じたところもあったけど)よく掘り下げられています。

なにより文章が読みやすくてわかりやすい!

通常のライトノベルとなら商業作品とでも張り合えるレベルでスムーズに読めて、作品を理解することができます。

ただ、まぁやはり(しつこいようですが)もう少しキャラと世界観にオリジナリティを含めてみてもよかったかもしれません(‘◇’)ゞ

 

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